兵士のエゴイズム
昔々ある所に、魔王と魔女の住む城に仕える人間の兵士が居りました。
元はさらわれた捕虜でしたが、その兵士は大変有能だったため、隊長格まで登り詰め、人間の国を攻める会議に出席するまでになりました。
しかし、人間だという理由で、意見はいつもろくに相手にされませんでした。
次第に兵士の不満は募っていき、ある夜、魔王たちの寝室へ忍び込み、彼らの弱点も知っていたのでいとも容易く殺して、目に入った罪の無い幼い魔王の子供を連れて人間の国へと帰りました。
人間の国の王様は魔王を倒した兵士を大層歓迎して、勇者だと呼び、お姫様と結婚してくれと言いました。
しかし、兵士が抱えていた魔王の子供に気付き、そいつが居る限り姫と結婚させることは出来ないと言いました。
兵士は、ほんの少しだけ迷ったあと、王様の目の前で剣を抜き子供を刺し殺して見せました。
こうして、兵士は人間の国の王子となり、幸せに暮らしましたとさ。